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土地活用|その土地に建てられる大きさは?『建ぺい率』と『容積率』について解説します。

2024.03.08 UP

マンションやビルの所有で収益を得ている方は、「大きな建物に建て替えたら、収益が上がるかもしれない」と思うことがあるでしょう。

また、これから土地活用を検討される方も、「大きな建物で土地活用した方が、効率的に収益を上げられそう」と思うかもしれません。

しかし、建物の大きさは自由に決められる訳ではなく、土地ごとに建てられる大きさが定められています。

建物の大きさを規制する決まりには、高さ制限、道路斜線、日影規制など様々なものがありますが、中でも重要なものは「建ぺい率」「容積率」です。

本記事は建ぺい率と容積率を中心に、建物の大きさを決める緩和や制限の規定について解説します。

用語とその意味を確認して、対象とする土地でどの程度の大きさの建物を建築できるのか把握しましょう。

>>関連コラム:大規模な修繕工事を実施するまえに考えるべきこと

1.建ぺい率とは?

建ぺい率は、「土地の中で建物が建つ面積の割合」を指します。

土地一杯に建物を建てると、防火や住環境の面でデメリットが生じるため、土地の中で通路や駐車場といったスペースを確保することを目的に定められます。

法律では、建ぺい率は次のように記載されています。

「建築物の建築面積の敷地面積に対する割合」

引用:建築基準法 第五十三条 建蔽率

実際に計算する際には、「建築面積 ÷ 敷地面積 × 100 = 建ぺい率(%)」の計算式を利用して求めます。

建ぺい率を分かりやすく説明すると、以下の図のようになります。

建ぺい率の概要と計算方法

2.容積率とは?

容積率は、「土地に対する、建物の床面積を合計した面積の割合」を指します。

建ぺい率は敷地に対して横方向に広がることを制限するものでしたが、容積率は縦方向に広がることを制限する法律です。

容積率の制限がなければ、階数を増やすことで際限なく建物が高くなり、周囲の建物への日当たりや風通しに悪影響を及ぼしてしまいます。

法律では、容積率は次のように記載されています。

「建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合」

引用:建築基準法 第五十三条 建蔽率

実際に計算する際には、「各階の床面積を合計した延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100 = 容積率(%)」の計算式を利用して求めます。

容積率を分かりやすく説明すると、以下の図のようになります。

容積率の概要と計算方法

3.建ぺい率と容積率の決まり方 

建ぺい率や容積率は、土地ごとに限度が決められています。

どのように定められているのか、基本的な考え方と特例の内容を確認しましょう。

建ぺい率と容積率は、都市計画で定められる用途地域によって上限(建ぺい率・指定容積率)が決められています

建ぺい率と指定容積率は自治体が公表している用途地域のマップを利用して確認できます。

たとえば、港区のホームページには「港区用途地域地区等図」が公開されていて、凡例に基づいて確認することで、土地活用を予定している土地の建ぺい率と容積率を確認できます。

建ぺい率と容積率が記載されている用途地域図

引用:港区 用途地域地区等図

3-1.前面道路幅による制限

ただし、土地前面の道路の幅が12m未満である場合、前面道路の幅(m)に一定の割合(40%または60%)を乗じた数値と指定容積率、どちらか小さい方の値を容積率として利用します。

引用:建築基準法 第五十二条2

3-2.角地緩和による特例

土地が2つの道路に囲まれる角地にある場合、自治体が指定する土地であれば、用途地域で定められる建ぺい率に10%を加えることができます(角地緩和)。

引用:建築基準法 第五十三条3の二

3-3.耐火・準耐火建築物による特例

建物が密集して建てられていて、火災の延焼が指摘されるエリアである防火地域・準防火地域で、火災に強い建物である耐火建築物・準耐火建築物を建てる場合も、用途地域で定められる建ぺい率に10%を加えられます。

引用:建築基準法 第五十三条3

なお、角地緩和と耐火・準耐火建築物による特例が重なった場合は、用途地域で定められる建ぺい率に20%を加えられます。

3-4.特定道路からの距離による特例

「前面道路幅による制限」で説明したとおり、前面道路の幅が12mを下回る場合は、前面道路の幅によって容積率が制限されます。

ただし、幅の広い道路から狭い道路に移ったとき、急激に容積率が小さくなることを防ぐために、「特定道路からの距離による特例」が定められています。

特定道路からの距離による特例

詳しくは以下のコラムで解説していますので、該当する土地を所有している方や購入を検討している方は参考にしてください。

>>関連コラム:土地活用で知っておくべき「特定道路による容積率緩和」とは?容積率の緩和で大きなマンション・ビルを建てられるの?

周囲の土地への影響を避けるための規制(日影規制・北側斜線 / 隣地斜線・絶対高さ)

建築予定地の周囲の土地への影響を避けるために、ここまで紹介したもののほか、以下の規制が設けられています。

  • 日影規制 : 建物により生じる日影を一定時間内に抑えて近隣の日照を確保する
  • 北側斜線 / 隣地斜線 : 隣地の日照・通風などの住環境を確保する
  • 絶対高さ : 住環境や景観を守るため地域ごとに高さを制限する

用途地域で指定された建ぺい率・容積率を基準にしながら紹介した特例や規制も確認して、対象とする土地でどんな大きさの建物を建てられるのか把握しましょう。

まとめ

土地の中でどの程度まで建物を広げられるのかを示す建ぺい率

土地に対する延べ床面積の割合で縦方向への建物の広がりを規制する容積率

その他紹介した特例などを把握することで、建物の大きさについての概要をつかむことができます。

ただし、紹介した特例は一例であり、自治体ごとにさらに細かく建ぺい率や容積率について規定が定められています。

たとえば、以下の図のように江戸川区では、2つの道路に囲まれている場合や、公園に隣接する場合に、一定の条件下で建ぺい率の緩和を受けることができます。

公園や道路で挟まれている場合に適用される建ぺい率の緩和

引用:江戸川区 建蔽率の角地緩和は受けられますか?

こうした規制や特例を含めて把握することで、建築できる建物の大きさや得られる利回りを正しく算定できます

しかし1つの土地に複数の規定が関わることもあり、正しい建ぺい率・容積率を算定するのは困難です。

このとき、頼れるのは建物の専門家である建築士や土地活用のプロであるデベロッパーの存在です。

所有している、または購入を検討している土地でどんな規模の建物を建てられるのか知りたい方は、80年以上に渡って土地活用のサポートを行ってきた鈴与三和建物株式会社まで、お気軽にご相談ください。

正しい法解釈を元に、適切な建ぺい率・容積率、利回りなどの算定を行い土地活用のサポートを致します。

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