更地の固定資産税が高すぎる!いま検討すべき土地活用5選
2025.12.24 UP
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■ 更地の固定資産税が高くなる理由
最近、老朽化した建物の解体や、建替え・売却・相続などを検討する過程で更地となり、「想定していたより固定資産税が高くなった」と感じる土地オーナー様からのご相談が増えています。
多くの場合、更地にすること自体が目的ではなく、次の活用方法を検討するための準備段階として解体されているケースがほとんどです。
しかし、建物を解体して更地になると、それまで適用されていた住宅用地の特例が使えなくなります。
その結果、固定資産税の計算方法が変わり、税額が一気に増えてしまうことがあります。
「すぐに建てる予定はないが、このまま高い税金を払い続けるのは不安」
「活用したほうがよいのか、それとも様子を見るべきか判断に迷っている」
このように、更地を所有しているオーナー様の中には、 “何もしないことのコスト”に悩まれている方
も少なくありません。
更地の固定資産税対策を考える際には、「固定資産税そのものを抑えられる土地活用」と、
「税額は変わらなくても、収入を得ることで負担を軽くする土地活用」
という2つの考え方があることを、まず理解しておくことが大切です。
本コラムでは、更地の固定資産税対策として検討されることの多い、5つの土地活用方法を取り上げ、
それぞれの特徴や考え方を分かりやすく整理します。
ご自身の土地や将来の計画を考えるうえでの、判断材料としてお役立てください。

■ 固定資産税と都市計画税を理解する
1,固定資産税と都市計画税の違い
固定資産税:土地・家屋・償却資産を持っていることに対する基本の保有税
都市計画税:都市計画事業などの費用に充てる追加の保有税で調整区域には課税されない
※東京都主税局の説明でも、固定資産税は土地・家屋・償却資産に対し、基本的に「課税標準×税率」で算出されます。
2,誰がいつの時点で払う?
両税とも原則として、毎年1月1日時点の所有者(登記名義人など)が納税義務者になります。
売買が年の途中であっても、納税通知書は1月1日時点の所有者に届くのが基本で、実務では売主・買主間で日割精算することが多いです(契約で調整)
3,課税対象及び課税者
固定資産税、都市計画税は共に土地、家屋などに課税される市町村税になります。
4,税額の基本式
固定資産税:税額 = 課税標準額 × 税率(標準 1.4%)
都市計画税:税額 = 課税標準額 × 税率(上限 0.3%)
5,課税標準額とは
実際に税率を掛けて税額を計算する元の金額(上記参照)で、軽減・調整を反映した実際に課税される金額になります。税金は評価額ではなく、課税標準額に対しかかります。
課税標準額が決まる全体像は、
評価額を算定→住宅用地特例を適用→負担調整を適用→課税標準額が確定
と言う流れになります。
6,評価替えとは
固定資産税・都市計画税は、毎年同じ評価額を使っているわけではありません。
土地・建物の評価額は、3年に1度見直されます。これを 「評価替え」 といいます。
前回は2024年度に評価替えがあったので2025年度、2026年度は据置になりますので次の評価替えは2027年度になります。
7,負担調整(調整値)とは
評価額が上がっても、税額は段階的にしか上げませんという仕組みです。
もし負担調整がなければ、商業地や再開発エリアなどは評価替えのたびに固定資産税が一気に跳ね上がることになります。それを防ぐために前年税額からの上昇幅に上限を設けております。
8,免税点
課税標準額の合計額が、土地30万円、家屋20万円未満、償却資産150万円未満の場合は課税されません。
>固定資産税・都市計画税について
■ 固定資産税の軽減効果がある土地活用(3選)
── 住宅用地の特例が使え、土地の税負担を大きく下げられる方法 ──
1.賃貸住宅(アパート・マンション)建築
更地や駐車場の固定資産税対策として、最も効果が大きいのが賃貸住宅の建築です。
住宅を建てることで課税標準額が、
・小規模住宅用地(200㎡×戸数) :固定資産税が 1/6、都市計画税は1/3
・一般住宅用地(200㎡超) :固定資産税が 1/3、都市計画税は2/3
まで軽減されます。
※なお、軽減率は建物の専有面積ではなく、敷地面積と戸数を基準として判定されます。
税負担が大幅に下がるだけでなく、家賃収入によって固定資産税や都市計画税そのものをカバーできる点が大きなメリットです。
建築費という初期投資は必要になりますが、長期的な安定収益と税対策を両立できる王道の活用といえるでしょう。
2.戸建賃貸・借家としての土地活用
アパートほどの規模は考えていない場合、戸建賃貸という選択肢も有効です。
戸建住宅であっても「住宅」である以上、同様に住宅用地の特例が適用されます。
比較的コンパクトな建築計画が可能なため、
・初期投資を抑えたい
・ファミリー層の賃貸ニーズが強いエリア
といった土地に向いています。
更地の固定資産税対策をしつつ、無理のない規模で収益化したい場合に検討しやすい方法です。
3.自宅を建てる・二世帯住宅を建築する
賃貸ではなく、自分で住む住宅を建てる場合も、住宅用地の特例が適用されます。
そのため、更地と比べると固定資産税は大きく軽減されます。
収益を目的とした活用ではありませんが、
・将来の住まいを見据えたい
・相続や家族構成の変化を考慮したい
といったケースでは、税負担を抑える現実的な選択肢となります。

■ 軽減効果はないが、収益で固定資産税をまかなう土地活用(2選)
── 税額は下がらないが、キャッシュフローを改善できる方法──
4.コインパーキング(時間貸し・月極)
コインパーキングは、住宅用地の特例が使えないため、固定資産税自体は下がりません。
しかし、初期投資が少なく、収益化までが早いという特徴があります。
更地のまま税金を払い続けるよりも、駐車場収入によって固定資産税分を十分にカバーできるケースは多く、将来の建築計画までの「つなぎ活用」として非常に有効です。
5.トランクルーム・物置レンタル
トランクルームや物置レンタルも、比較的手軽に始めやすい土地活用です。
・小規模な土地
・変形地
・建築が難しい立地
でも活用しやすく、場合によっては建築確認が不要なケースもあります。
固定資産税の軽減効果はありませんが、賃料収入によって税負担を相殺することが可能です。
■ 結論
「税金を下げる」か「収益で支払う」か、方向性の見極めが重要。
更地の固定資産税は、住宅用地の特例が適用されないため、
「何もしないで持ち続ける」という選択が、結果的に最も負担の大きい状態になってしまう場合があります。
土地活用といっても、税負担そのものを軽減できる方法、税負担は変わらなくても収入で相殺できる方法の2種類があり、どちらを選択するかは土地の立地・規模・周辺需要・将来の計画 によって大きく変わります。
大切なのは、「いまの土地にとって最も合理的な選択は何か?」を早い段階で検討することです。負担が大きいからと放置すると、数年単位でみたときに数百万円規模の差になるケースも珍しくありません。そのため、まずは現在の土地の状況と将来像を整理し、“固定資産税をどう扱うべきか” を全体の収支の中で考えていくことが重要です。
なお、土地活用にはさまざまな手法がありますが、鈴与三和建物では主に「賃貸マンション建築等による、土地活用をご提案しています。
住宅系の活用は、固定資産税の軽減効果が大きいだけでなく、長期的な安定収益を得ながら資産価値向上も期待できる点が大きな強みです。
「更地のままで良いのか?」と迷われているオーナー様は、まずは一度、現状の土地にどのような選択肢があるのかを知るところから始めてみてください。
最適な活用方法は土地ごとに異なりますが、その検討を始めた瞬間から、
土地は“負担の源”ではなく“資産として活かす方向”へ動き始めます。

