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大規模修繕の「シーリング工事」とは?必要性やタイミング、工事の流れや注意点も解説

2025.05.19 UP

およそ15年間隔で実施される、マンションやオフィスビルなどの大規模修繕工事。
実は外壁の塗装や下地補修など、複数の工種に分かれます。

本記事では特に、防水性や気密性を維持するために重要視される「シーリング工事」について解説します。

そもそもどういった工事なのか、工事の流れや注意点なども紹介しますので、大規模修繕工事の必要性を意識している方は、ぜひ参考にしてください。

>>関連コラム:大規模な修繕工事を実施するまえに考えるべきこと

シーリングとは?コーキングとは?

シーリングとは?コーキングとは?

シーリングとは、大規模修繕工事の中でも防水性と気密性を確保するために重要な工程です。建物の外壁や窓枠、玄関ドアの周囲などの隙間にゴム状のシーリング材を充填し、雨水の侵入や気流の漏れを防ぎます。

なお、シーリングと似た言葉にコーキングがあります。

シーリング:建物の外側の目地や隙間を埋めるために使用されることが多く、防水性や気密性を確保する役割があります。

コーキング:建物の内側、特に窓枠やサッシの隙間を埋める際に使われることが多いですが、実際にはシーリングと同じ材料を指すこともあります。

つまり、施工場所によって呼び方が変わることがあるものの、役割や材料はほぼ同じです。どちらも防水や気密性を高めるために重要な役割を果たします。

大規模修繕におけるシーリング工事の必要性とは?

隙間を埋める目的で実施されるシーリング工事、どうして大規模修繕などのタイミングで再施工する必要があるのでしょうか。
その理由はシーリングが劣化することにあります。

  • ・太陽光の紫外線
  • ・湿度や温度変化

こうした要素によって、外気にさらされるシーリング材は徐々に劣化します。

防水性や気密性、美観を維持するために、定期的にシーリング材の撤去、交換が必要となります。

>>関連コラム:大規模修繕とは?定義や工事内容、必要性、問題点と対策まで解説

シーリング工事が必要となる目安、タイミング

シーリング工事が必要となる目安、タイミング

気になることは、どの程度の間隔でシーリング工事をするべきなのかということです。
一般的には、以下の条件に合致する場合に、シーリング工事をすることが勧められます。

  • ・前回の施工から10~15年が経過したとき
  • ・ひび割れや剥がれ、隙間などの変状が確認されたとき
  • ・塗装など他の大規模修繕を実施するため足場があるとき

いずれの場合にしても、シーリングの再施工をするべきかは専門家による評価が必要となりますので、シーリング工事の必要性が気になる方は、鈴与三和建物株式会社の「無料建物劣化診断」をご利用ください。

>鈴与三和建物の「無料建物劣化診断」

シーリング工事の流れ

シーリングとはどういった作業が行われるのか、イメージを分かりやすくするために、写真とともに工事の流れを紹介します。

(1)古いシーリング材の撤去

シーリング工事の流れ:古いシーリング材の撤去

シーリング材を交換するために、古いシーリング材を撤去します。
新しいシーリング材をしっかり定着させるために、細かな残りカスも含めて綺麗に清掃します。

(2)プライマーの塗布

シーリング工事の流れ:プライマーの塗布

新たなシーリング材と外壁との密着力を高めるために、下地となる接着剤を塗布します。

(3)新しいシーリング材の充填

シーリング工事の流れ:新しいシーリング材の充填

最後に専用のコーキングガンを使用して、シーリング材を隙間に充填していきます。
定められた期間だけ、適切に乾燥させて施工を完了します。

状態がよい場合や費用を抑えたい場合など、既存のシーリング材をそのままに上からシーリングを被せる「増し打ち」を選ぶケースもあります。

シーリング材の種類を紹介

こうした手順で実施されるシーリング工事ですが、実は使用されるシーリング材には種類があります。

主に以下3つに分類され、それぞれ特徴が異なります。

(1)湿気硬化型

湿気硬化型のシーリング材は、空気中の水分と反応して硬化するタイプのシーリング材です。施工後、湿気を吸収することで徐々にゴム状に固まり、目地や隙間をしっかりと密閉します。

特徴

  • ・施工が簡単:1成分形が多く、混合の手間が不要。
  • ・硬化速度が環境に依存:湿度が高いほど早く硬化し、乾燥した環境では硬化が遅くなる。
  • ・耐候性が高い:屋外でも使用可能で、長期間の耐久性を持つ。
  • ・幅広い用途:建築の目地や窓枠、浴室などの防水施工に適している。

(2)乾燥硬化型

乾燥硬化型のシーリング材は、溶剤や水分が揮発することで硬化するタイプのシーリング材です。施工後、時間の経過とともに溶剤が蒸発し、ゴム状の弾力を持つシール層が形成されます。

特徴

  • ・施工後の硬化が比較的早い:溶剤が揮発することで硬化するため、環境によって硬化速度が変わる。
  • ・耐候性が高い:屋外でも使用可能で、長期間の耐久性を持つ。
  • ・塗装適性がある:塗装が可能なタイプもあり、仕上げの自由度が高い。
  • ・用途が広い:建築の目地や窓枠、屋根の防水施工などに適している。

(3)混合反応硬化型

混合反応硬化型のシーリング材は、基剤と硬化剤を混ぜることで化学反応を起こし、硬化するタイプのシーリング材です。施工時に2つの成分を混合することで、均一な硬化が可能になります。

特徴

  • ・高い耐久性:化学反応による硬化のため、強度が高く、長期間の使用に耐えます。
  • ・均一な硬化:混合することでムラなく硬化し、安定した性能を発揮します。
  • ・幅広い用途:建物の目地や外壁、構造物の防水施工などに適しています。
  • ・施工時の注意:混合比率を正確に守る必要があり、適切な攪拌が求められます。

実際にシーリング工事をする場合は、専門家が最適なシーリング材を選びますが、どういった違いがあるのか概要を把握しておきましょう。

シーリング材の比較表

シーリング工事を検討する際の注意点

シーリング工事には、検討する際に注意しておきたい点もありますので紹介します。

工事中のプライバシーへの配慮

1つ目は、工事中の住民に対するプライバシーの配慮です。

大規模修繕においてシーリング工事を実施する場合、足場を組んだ上で各戸のベランダの前で作業することとなります。

作業員がすぐ外側にいることが気になる方もいますので、大規模修繕の工事を計画する段階から、工事の方法について周知する必要があります。

臭いについての周知

2つ目は、臭いについて周知することです。

シーリング工事は工事期間中、臭いが広がることは避けられません。
このため、臭いがする時間や程度について周知するとともに、工事を避けるべき時間などを住民、入居者との間で決める必要があります。

依頼先による施工精度の違い

3つ目は、依頼先による施工精度の違いです。

シーリング工事は手作業になりますので、作業する職人によって仕上がりの精度や美しさが異なります。
シーリングを施工する主目的である壁面などに対する防水は当然のこととして、美しい仕上がりになるよう丁寧に施工する業者を選びましょう。

費用は見積もりを確認する

4つ目は、具体的な費用については見積もりを取って確認することです。

シーリング工事は、劣化の程度や施工条件によって費用が大幅に変わります。
このため、一般的な費用の相場から面積換算で求めるよりも、具体的に見積もりを取得することをおすすめします。

>シーリング工事の具体的なお見積りはこちらへ

保証期間

5つ目は、保証期間の有無や年数について確認することです。

シーリング工事の保証期間は、一般的には3~5年が目安です。
大規模修繕を依頼する場合、業者間で見積もりを比較する際は保証内容を確認しましょう。

そのほか、保証について確認したい点は、適用条件、および適用されないケースです。

保証の適用条件

  • ・適切な施工:施工業者が正しい技術と材料を使用すること。
  • ・定期的なメンテナンス:保証期間中に適切な点検や補修を行うこと。
  • ・契約内容前の確認:保証の範囲や条件を契約前に明確にすること。

保証が適用されないケース

  • ・自然災害による損傷:地震・台風・洪水など。
  • ・不適切な使用:過度な負荷や化学物質など。
  • ・施工後の構造変更:建物の改修や増築など。

弊社では各部位ごとに保証書を発行します。

シーリング工事保証書の例

まとめ

>>施工事例:SOHOのライフスタイルをデザイン(中央区)

大規模修繕の際に行われることの多い、シーリング工事について解説しました。

壁と壁、壁と窓といった隙間を埋めるために必ず行われるシーリング工事は、実施後15年ほど経過すると、劣化によってひび割れなどの変状を起こすことがあります。

シーリング工事の目的である防水、気密といった目的を達成できなくなりますので、適度な間隔で打ち替え工事することが勧められます。

シーリングの劣化状況は専門家による評価を受けて判断する必要がありますので、大規模修繕工事やシーリング工事を検討中の方は、ビルやマンションの新築や修繕をする会社に依頼しましょう。

鈴与三和建物株式会社では、「建物の無料劣化診断」を受け付けております。
シーリングも含めた外壁の状態が気になる方は、お気軽にご相談ください。

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