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土地活用は「出口」から設計する時代── 法人化+株式でつくる最強の出口戦略 ──

2025.12.26 UP

土地活用は建てて終わりではない

土地活用というと、「何を建てるか」「どれくらい収益が出るか」といった “入口の計画” に意識が向きがちです。

しかし、建物は30年・40年と存在し続け、所有者には必ず 相続・引退・代替わりが訪れます。
つまり、土地活用は 出口戦略まで設計して初めて成功する長期プロジェクトです。

そこで近年注目されているのが、「法人化」+「株式」を活用した出口戦略。
個人所有のままでは選択肢が限られますが、法人化することで、

・相続
・売却
・税務対策

のすべてで選択肢が大きく広がります。
本コラムでは、出口から逆算して土地活用を考える9つの核心ポイントを解説します。


■ 法人化+株式が「出口」を強くする9つの視点

  相続をシンプルにする──「株式で承継する」という発想

個人所有の土地・建物は相続時に、

・不動産そのものの名義変更
・分割協議
・評価額の問題


が絡まり、手続きが複雑になりやすい構造です。

しかし土地活用事業を法人に移しておくと、承継すべき対象は法人の株式に一本化。
この構造転換により、次のようなメリットが生まれます。

・不動産そのものを分割しなくてよい
・株式の割合で柔軟に承継できる
・株式評価を利用し、相続税を抑制しやすい

つまり、法人化は揉めない事業承継を可能にする仕組みです。
※参考(閲覧できない場合は「中小企業庁 事業承継」で検索)中小企業庁|事業承継とは


② どこから法人化を検討すべきか。法人化すべきラインの考え方

法人化は強力な節税・承継ツールですが、誰でもやれば得になるわけではありません。
重要なのは、「どのラインを超えたら法人化の効果が大きくなるか」を把握することです。

一般的には、以下の3つの視点から法人化すべきラインを判断します。

1. 年間の課税所得が900万円を超えるかどうか
2. 事業規模が“1棟マンション規模”になったとき
3. 10年後・20年後に“相続 or 売却”が高確率で想定されるとき

特に、「相続税が重くなりそう」「不動産を分けると揉めそう」という家庭環境がある場合、法人化は強力な解決策になります。

法人化すべきラインをまとめると

判定視点法人化を検討すべきライン
税務(所得)課税所得900万円超が安定して見込める
事業規模年間家賃1,500〜2,000万円以上、1棟マンション規模
出口戦略将来の承継・売却を視野に入れたい

これら3つのラインのうち 1つでも該当すれば法人化の検討価値が高いといえ、2つ該当すれば法人化メリットが大きく上回る可能性が高い といえます。


 売却・撤退の選択肢を増やす──“事業として売れる”状態をつくる

個人所有の場合、出口は基本的に物件単体の売却に限られます。
しかし、法人化した場合は出口が一気に増えます。
法人化後の出口の種類は

1, 物件だけを売る(不動産売却)
2, 法人ごと売る(株式譲渡)
3, 不動産管理事業だけを売る(事業譲渡)

特に強力なのが 「株式譲渡」 という出口です。

・契約関係(賃貸借契約・ローン等)をそのまま引き継げる
・テナント・金融機関との関係性が維持される
・価格評価が“事業価値”ベースになり、資産価値が上振れしやすい

つまり出口価格≠物件の不動産価値だけ
出口価格=不動産+収益事業の価値となり、高値での売却可能性が広がります。


  税負担を長期で最適化する──所得税・相続税・譲渡税を戦略的にコントロール

出口で最も効いてくるのが税負担です。
土地活用は規模が大きいため、税対策の有無で将来の資産額が大きく変わります。

法人化+株式を組み合わせることで、次の効果が期待できます。

(1)法人化のメリット
・所得税 → 法人税へシフト(最大55% → 約33%に)
・役員報酬・家族への給与で所得分散
・減価償却・経費計上で課税所得を抑制しやすい

(2)株式活用のメリット
・法人評価を使うことで相続税の圧縮が可能
・売却時は“株式譲渡”で課税を一本化し、手残りが増えやすい
(不動産譲渡よりも税率が安くなるケースも多い)

【補足】
・認知症対策として、法人を活用するケースもあります。
・法人化の手法として、個人所有のアパート、マンション(区分所有除く)がある場合、建物だけを法人に売買移転するようにします。
・相続時の納税資金は、上記個人所有の土地部分の内、相続税相当額を持分譲渡で捻出します。


 法人化+株式活用のデメリットと注意点

法人化や株式活用は出口戦略を強くする一方で、導入前に知っておくべき注意点・デメリットも存在します。メリットだけを見て進めると、後々コスト増や運用負荷につながるため、以下は必ず押さえておく必要があります。

・決算費用(税理士報酬)
・法人住民税(均等割は赤字でも発生)
・会計、書類管理体制の構築
・税務申告の手続き


特に小規模の土地活用事業では、年間20万円~50万円程度の維持費がベースとして必要になります。
「節税メリット<法人維持コスト」となるケースもあるため、収益規模とのバランス確認が不可欠です。

(2)株式活用のデメリット
個人事業と異なり、法人の資金は会社のお金となり、自由に引き出すことは出来ない。

・役員報酬
・配当
・貸付金
・経費の適正性

など、すべて法的ルールに基づいた処理が必要になり、誤って私的流用と判断されると追徴課税や重加算税のリスクが生まれます。


⑥ 株式評価を低く抑えるには管理の適正さが必要

株式を活用した相続税圧縮はメリットが大きい一方、次のような状況では逆に評価額が高くなる場合もあります。

・利益が増えすぎて法人評価が上がる
・内部留保(現金)が積みあがる
・不動産の含み益が大きい
・赤字対策が不十分で損益調整ができていない

つまり、株式評価は管理次第で上下する生きた数字です。
戦略的に運用しないと、本来のメリットが出なくなるリスクがあります。


 物件ごとの収益が小さいと節税効果が限定的

法人化は、減価償却、経費算入、所得分散などで節税効果を出しますが、そもそも利益が小さい事業では効果が限定的になります。

特に、
・単身者向け小規模アパート
・建物価格が低い木造系

などは、固定費との差し引きで旨味が薄いケースもあります。


 株式譲渡による売却は“相手の信頼性”が重要

株式譲渡(法人ごと売却)は出口として魅力的ですが、

・過去の契約の瑕疵
・未払金・保証金の扱い
・テナント対応やクレームの履歴
・隠れ債務の有無


など、法人内部の状態を細かく精査されます。
法人運営が雑だと、「株式譲渡NG」または「価格大幅減額」となる可能性があります。


  金融機関の理解が必要になる(融資判断が変わる場合も)

法人名義での融資は、個人名義と比べて

・借入審査が厳しくなる
・個人保証を求められる
・金利が高くなるケースもある

というデメリットが出ることがあります。
特に法人化直後は決算履歴がないため、金融機関がリスクを高めに見る傾向がある点は要注意です。

※参考(閲覧できない場合は「国税庁 株式譲渡所得」で検索)国税庁|株式譲渡所得


結論 法人化+株式は“強力だが管理型”の出口戦略

メリットは非常に大きい一方、運用を誤ると逆効果になる場合もある。
これが法人化+株式活用のリアルです。

土地活用の最終目的は「建てること」ではなく、資産を守り、増やし、未来に受け継ぐ仕組みを作ることにあります。
そのためには、

・誰に承継したいのか
・将来売る可能性はあるのか
・どこまで資産を育てたいのか

という出口の絵を最初に描くことが欠かせません。
法人化+株式 は、

・相続に強い
・売却に強い
・税務に強い

という出口をつくる強力な戦略ツールです。「出口から逆算する土地活用」
今後の不動産所有者にとって、資産を最大化する最も現実的なアプローチになります。


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