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大規模修繕とは?定義や工事内容、必要性、問題点と対策まで解説

2025.05.13 UP

マンションオーナーやビル所有者は、外壁の修繕などを含む「大規模修繕」について検討したことがあるでしょうか。

本記事では実施する予定のある方に向けて、改めて大規模修繕とは具体的にどういった内容の修繕を指すのか解説します。

具体的な工事内容、大規模修繕の必要性や実施する上で発生することの多い問題点と対策など幅広く解説しますので「そろそろ大規模修繕をするべきか」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

>>関連コラム:大規模な修繕工事を実施するまえに考えるべきこと

大規模修繕とは?

大規模修繕とは?

大規模修繕とは、建物の老朽化や劣化に伴って、建物全体または重要な部分に対して行う大規模な修理や改修のことを指します。通常、建物の構造、外壁、屋根、設備(電気・給排水・空調設備など)に関わる修繕を含みます。

これらの修繕は、建物の安全性や機能性を保つために必要であり、通常は長期間(例えば、15年に1回など)に一度行われることが多いです。大規模修繕は、単なる小規模な修理とは異なり、大規模な工事計画や予算が必要となることが特徴です。

確認しておきたい大規模修繕の定義

大規模修繕とは、国土交通省が公表している「長期修繕計画作成ガイドライン」の中で、以下のとおり定義づけられています。

建物の全体又は複数の部位について行う大規模な計画修繕工事(全面的な外壁塗装等を伴う工事)をいいます。
引用:国土交通省 マンション管理に関する各種ガイドライン等

最も具体的に表現されているポイントは「全面的な外壁塗装等を伴う工事」です。

つまり、マンションの維持管理工事で見かけることがある、足場を組んで大々的に実施する外壁塗装工事、および付帯工事が大規模修繕工事の分かりやすいイメージといえます。

大規模修繕と似た「改修・修繕・改良」とは?

大規模修繕と似た言葉に、「修繕・改良・改修」といったものがあります。
大規模修繕とともに意味を確認することで、工事の目的を明確化できますので紹介します。

  • 修繕:建物の劣化、損傷を修復し建設時の状態に機能を回復する
  • 改良:建材や設備の機能性を高め、資産価値を向上させる
  • 改修:修繕と同時に改良を施し、機能の回復と資産価値の向上を図る

大規模修繕は「修繕」に当たりますので、基本的にはマンションやビルの劣化や損傷を修復し、機能を回復する工事になります。

ただし、改良工事の中には、足場がなければ施工しづらいものもありますので、大規模修繕をしながら一部改良工事をするケースもあります。

>>関連コラム:マンション・ビルの外装修繕で知っておきたい『予防保全』と『事後保全』とは?メリットや注意点など特徴を詳しく解説

大規模修繕の工事内容を紹介

より具体的に、大規模修繕の工事内容について確認しましょう。

  • ・外装修繕:外壁の高圧洗浄や塗替えなど
  • ・屋上防水:防水シートや塗装による屋上防水層の修復
  • ・電気設備改修:受変電設備や分電盤、配線などの点検と更新
  • ・排水設備改修:配管や貯水槽、ポンプ設備などの点検と更新更正
  • ・足場工事:各種修繕工事を安全、効率的にするための足場

大規模修繕の際は、こうした工事を行います。

大規模修繕の必要性とは?

大規模修繕の必要性とは?

多大な費用と手間を要しますが、どうして大規模修繕工事をするのでしょうか。

工事の必要性、および工事を実施する際に問題になりやすいポイントおよび対策についても解説します。

大規模修繕3つの必要性

大規模修繕工事を実施する主な目的は、次の3つです。

  • ・外壁や屋上の劣化を補修する
  • ・外観の美観を維持する
  • ・建物の寿命の延長を図る

中でも重要視される目的は、外壁や屋上の劣化を修繕することです。

マンションやオフィスビルは太陽光や降雨によって徐々に劣化し、場合によっては亀裂から建物内部や鉄筋などの構造部まで水が浸潤することがあります。

特に全面タイルの建物はタイルや目地から水が浸入し、タイルが浮いたり剥がれたりします。

建物の寿命を損なう可能性がありますので、こうした問題が発生する前に大規模修繕を行い維持補修することが重要です。

>>関連コラム:白華(エフロレッセンス)とは?外壁修繕などマンションを守る4つの対策を解説│白華の問題点や原因も紹介

大規模修繕実施の問題点と対策

大規模修繕工事を実施する場合、様々な問題に直面することがあります。

大規模修繕工事を実施する際には、工事の規模や内容に応じて、計画的な対策が必要です。具体的な工事の実施とそれに対する対策は、工事の円滑な進行、安全性、品質、入居者への影響を最小限に抑えるために重要です。以下は、実施前から完了後に至るまでの主要な対策について説明します。

1. 事前準備と計画の策定

  • 現地調査と点検
    まず、建物の現状調査を行い、必要な修繕箇所を洗い出します。これには、外壁、屋根、設備、配管などの詳細な点検が含まれます。また、修繕対象がどこまで広がるのか、どの順番で作業を進めるべきかの確認が重要です。
  • 修繕計画の立案
    どの部分から工事を開始し、どのくらいの期間で完了させるか、作業を行うための具体的なスケジュールを立てます。また、作業中に入居者や周囲の環境にどのような影響があるかを考慮し、対応策も盛り込みます。
  • 予算の確保と見積もり確認
    工事に必要な予算を確保し、業者からの見積もりを詳細に確認します。これにより、不明瞭な費用や後々発生する可能性のある追加費用を予め把握しておきます。
  • 法律・規制の確認
    修繕工事が地域の建築基準法やその他関連する法令に適合していることを確認します。また、工事に必要な許可や手続きを行い、規制に従って進めます。

2. 入居者や周囲への配慮

  • 入居者への事前通知
    修繕工事を行う前に、入居者に対して工事の開始日時、工事内容、工事期間、作業中の影響について通知します。工事中の騒音、臭気、振動、埃などに関しても説明し、入居者に対する配慮を示します。
  • 工事中の安全確保
    工事現場では安全対策を徹底します。足場の設置や作業員の安全装備の着用、周囲への警告表示などを行い、事故や怪我を防ぎます。また、通行人や入居者の安全も考慮して、工事中は適切な誘導を行います。
  • 入居者とのコミュニケーション
    工事進捗状況を入居者に定期的に伝え、もし問題が発生した場合は迅速に対応する体制を整えます。入居者の不安を和らげ、円滑な工事を進めるための重要な要素です。

3. 工事中の進行管理

  • 施工品質の監督
    作業が計画通りに進んでいるか、施工品質が基準を満たしているかを監督します。巡回監理者を設置し、定期的なチェックを行い、品質を確保します。
  • 進捗管理とスケジュール管理
    工事が予定通り進行しているかを監視し、遅れが出た場合は迅速に対応します。天候やその他の要因で工事に影響が出た場合でも、予備日を確保するなどの対応策を考慮します。
  • 周囲への配慮
    工事に伴う騒音、臭気、埃、振動などが問題となるケースがあるが、適切な対策を講じます。例えば、静かな時間帯に作業を控えたり、仮設の遮音シートを使ったりすることで、近隣の方や入居者への影響を最小限に抑えます。

4. 施工後の確認とアフターサポート

  • 完成検査と確認
    工事が完了した際には、完了検査を行い、すべての作業が計画通りに実施されているか、品質に問題がないかを確認します。修繕箇所が完全に修復されているか、再チェックを行います。
  • アフターサポートと保証
    修繕工事後に不具合が発生した場合に対応できるよう、業者との間で保証内容を確認しておきます。保証期間中は無料で修理や再施工が受けられるよう、アフターサービスが整っている業者を選ぶことが重要です。

5.大規模修繕工事の相場が分からない

大規模修繕工事を担当した経験のある方は少なく、また建物の種類や規模、劣化状況などによって費用は変わりますので、適切な金額は分かりづらいものです。

  • ・大規模修繕工事を請け負う複数社に相見積もりを取る
  • ・国土交通省の実態調査を元に費用の目安をつける

こうした対策が有効です。

国土交通省の実態調査は、各物件ごとの差異までは反映していないことから、あくまで参考程度とし、複数業者から取得する相見積もりを比較、検討することをおすすめします。

引用:国土交通省 令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査

相談や見積もりは無料で行う業者も多いですので、大規模修繕工事を請け負うことのできる複数の業者に相談しましょう。

まとめ

大規模修繕工事、施工前後写真

●大規模修繕工事、施工前後写真(左:施工前 右:施工後)

大規模修繕工事とは何か、また具体的な工事内容や実際に行う際の問題点といった話題について解説しました。

マンションやオフィスビルなど、大型の建築物は定期的な大規模修繕工事が欠かせません。
定期的に実行することにより、建物の基礎的な性能を維持することができ、結果として長期間建物の機能や価値を維持できるからです。

大規模修繕業者の選定には、単に価格だけでなく、業者の信頼性、技術力、施工品質、アフターサービスなど多くの要素を総合的に評価することが重要です。複数の業者から見積もりを取得し、慎重に比較することをお勧めします。90年に渡りこの年月の経過の中で建物の誕生から、大規模修繕さらには、解体(建替え)までを見守ってきた経験と実績のある鈴与三和建物株式会社までお気軽に相談下さい。

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