老朽建物を放置するとどうなる?今すぐ知っておきたい5つのリスク
2025.08.29 UP
Contents
はじめに
建物の所有者にとって、その老朽化は避けられない問題です。構造や用途によって耐用年数は異なりますが、どんな建物でも経年により劣化が進んでいきます。
建物の劣化に合わせて修繕など、適切な対策を行うことは非常に大切ですが、手間やコストがかかってしまうため簡単なことではありません。
特に、使わなくなってしまった建物や、劣化が進んでしまった建物などは、修繕をすべきか、建替えをすべきか、またそれらの内容はどのようなものが最適なのか考えなければならないことがたくさんあり、今後どうしていくべきかを判断することは非常に難しいです。
その結果として手を加えないまま放置してしまうというケースも珍しくありません。
「いつか売ろう」「そのうち使うかもしれない」と様子を見ている間に、資産の“価値”は“負担”に変わっていきます。
今回は、そのような老朽建物を放置することで発生する6つの主なリスクについてご紹介します。
リスク①|倒壊・崩落の危険:事故発生の責任は所有者に

老朽建物で最も深刻なのは、構造体の劣化による倒壊リスクです。
鉄筋の腐食や柱・梁のひび割れ、屋根や外壁材の剥離などが進行すると、地震や台風などの災害によって建物の一部、あるいは全体が崩れる可能性があります。
こうした事故が発生した場合、所有者責任が問われることになります。通行人や近隣の建物に被害が及べば、損害賠償や訴訟リスクにも発展します。
リスク②|資産価値の大幅な下落:売るに売れない建物に

建物の劣化に伴い、不動産を売却する際の市場での評価額も下落していきます。
内装や設備が時代のニーズと合っていない場合、賃貸する場合の賃料や、売却時の評価額の下落や、借主・買い手がつきにくくなることにもつながります。
結果として、“売れない”“貸せない”という負のスパイラルに陥るケースが少なくありません。
リスク③|税金負担が増える:固定資産税の特例が外れる可能性

建物を一定の条件下で放置し続けると、「住宅用地特例」のような固定資産税の軽減措置から外れるリスクも出てきます。
平成26年に成立した「空き家対策特別措置法」により、行政は適切に管理されていない空き家を“特定空き家”に指定できるようになりました。
この”特定空き家”に指定されてしまうと、行政から所有車に対し助言や指導・勧告などがなされるようになり、住宅用地特例の対象から除外されてしまい固定資産税が増額してしまったり、除却命令や罰金の支払いにつながることも。
リスク④|火災・不法侵入・犯罪の温床に

老朽建物は管理が手薄になることで、放火・ゴミ投棄・不法侵入といったトラブルの発生源になりやすくなります。
特に人目につきにくい場所にある物件は、不審者の侵入や違法行為の温床となることもあり、近隣の治安や地域の安全性に悪影響を及ぼす恐れがあります。
火災によって延焼が発生すれば、所有者に責任が問われるだけでなく、企業や個人の信用失墜にもつながります。
リスク⑤|近隣トラブルと企業イメージの悪化

外壁の汚れや雑草の繁茂、外観の荒廃などにより、景観を損なう放置建物は、近隣住民や周囲の事業者との摩擦を生みます。
苦情が寄せられたり、行政対応を求められたりすることで、地域との関係が悪化することも少なくありません。
また、企業が所有している場合には、「社会的責任を果たしていない企業」としてのブランドイメージ低下も招きます。
まとめ:老朽建物の「見える化」と早期判断がカギ
老朽建物の放置には、安全性・経済・法律・社会性の4つの側面から深刻なリスクが伴います。
特に法人や事業主にとって建物の老朽化は単なる不動産問題ではなく、経営判断の一環として考える必要があります。
まずは専門家による建物診断や資産評価を通じて現状を“見える化”し、
「このまま保有するのか」「再生・建て替えに踏み切るのか」「売却・転用を検討するのか」といった判断を行うことが重要です。
老朽化は止められませんが、「放置するかどうか」は今すぐ変えられます。
将来の後悔を避けるために、できることから一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。