共有名義とは?リスクと解消方法、解消後の土地活用方法について解説
2024.09.27 UP
共有名義とは、1つの土地や建物を複数の権利者が共同で所有している状態を指します。似たようなものに区分所有というものがあります。区分所有とはマンションなど複数の部屋に分かれた建物において、各部屋それぞれを個別に所有することを指します。
この場合、土地活用を目的に建替え・修繕・売却などをしようとしても、自分の意思だけでは進めることができません。
本記事では、土地や建物が共有名義になるケースを解説したうえで、共有名義のリスクや解消方法、その後の活用方法などについてもご紹介します。
相続登記が義務化され、今後このような不動産の名義に関する問題を目にする機会も増えるかと思います。問題に直面した際に適切な対応が取れるよう正しい知識を身に着けておくことが大切です。
不動産の共有名義とは
はじめに「土地や建物といった不動産を共有する」とはどういう状態なのか解説します。
不動産の共有は、1つの土地や建物に対して複数の権利者がいる状態です。
不動産の相続を受けた場合や複数人名義で1つの建物を建てる場合などに共有名義が発生することがあります。
以下の図のとおり、共有名義には主に3つのパターンがあります。
- パターン1:土地・建物の共有
- パターン2:土地の共有
- パターン3:建物の共有
これらのパターンによって、取るべき対応が変わる場合があります。専門家に相談する際は、事前に今の状況を整理しておくことをおすすめします。
共有名義のリスク
不動産が共有名義になっている場合、以下のようなリスクがありますので注意が必要です。
- ・自由に動かすことができない
不動産が共有名義になっている場合、一般的に当該不動産の売却・修繕・建替え・賃貸などには権利者全員の許可が必要です。
仮に自身が大部分の権利を持っていたとしても、他の権利者から同意を得なければならず、意見が揃わずに動かすことができなくなるといったリスクがあります。
- ・二次相続で権利がより複雑化する可能性
権利関係の整理や遺産分割協議などの煩わしさなどが原因で不動産が共有状態のままになっているケースが多々あります。
このような場合に、二次相続が発生すると権利関係がより複雑化してしまう可能性があります。
二次相続とは、相続を受けた人が亡くなり、その配偶者や子へと相続が発生することを指します。 配偶者と子供が相続する場合や、子供が複数いる場合などは、権利者が増えてしまうため、権利関係が複雑化してしまいます。
- ・悪意の第三者が介入する恐れ
たとえば共有者の一人が、悪意のある第三者に自身の持分を売却した場合、自身に不動産を売却する意思が無くても、共有物分割訴訟などによって、不動産を手放さざるを得なくなるリスクがあります。
共有物分割訴訟とは、不動産などの資産の共有解消を目的とした協議が合意に至らない場合に、その分割を求めて起こすことができる訴訟です。
不動産は分割することが難しい為、現金化して分けるという結果になることも少なくありません。
不動産を共有している限り、常にこうしたリスクを抱えることになりますので、共有状態を解消することをおすすめします。
共有名義の解消方法
どうすれば共有名義を解消できるのでしょうか。
主な方法は以下の3つです。
- パターン1:共有者全員で不動産を売却し現金を分割する
- パターン2:自分の持ち分を第三者・他の権利者に売却する
- パターン3:他の権利者の持ち分を購入する
パターン1については、自身を含めた権利者全員が同意すれば可能です。
パターン2について、他の権利者に売る場合は当該権利者との合意だけで可能です。第三者に売却する場合、他の権利者の同意を得なくても売却することができます。
ただし持ち分の売却は買う側にとっても自由に動かしづらいというデメリットがあるため、パターン1と比べ売却額が著しく低くなってしまう可能性があります。
パターン3は権利者の一人が他の権利者の持ち分を購入して権利関係を整理するという方法です。
不動産を手放したくない場合やその後自由なタイミングで売却などをしたい場合などは検討しても良いかもしれません。
この場合、他の権利者との間で買い取り交渉が必要になる点、買い取りのための資金を捻出できるかといった点がポイントになります。
自己資金が無い場合でも、銀行などから借入を行い他の共有者から不動産の権利を買い取ったあとに、対象の不動産を活用して銀行への返済に充てるといったケースもあります。
>>関連コラム:土地活用┃十分な資金なしでも土地活用をする方法5選
共有名義解消後の活用方法
他の権利者から持ち分を買い取る際に銀行などから融資を受ける場合、その後どのように返済をしていくかを検討する必要があります。不動産の共有名義が解消できれば、自由に動かすことができるようになります。
それを踏まえ、融資の返済手段として不動産の活用を検討してみても良いかもしれません。
この場合の選択肢としては、以下の3つが挙げられます。
- 選択肢1:賃貸する
単独所有となった土地・建物などの不動産は、他人に賃貸して賃貸収入を得ることができます。
ただし、建物や土地の規模・状態によっては、返済額に対し十分な賃料収入が得られない場合があります。
>>関連コラム:土地活用の収益が高いのは「ワンルームマンション」?ワンルーム条例やライフスタイル変化により
- 選択肢2:収益性の高い建物にする
現状のままでの賃貸では十分な賃料収入が得られない場合、建替えを行い、より収益性の高い不動産に組み替えるという選択肢もあります。
建築費など、建替えに必要な費用の返済も含め、現状よりも収益性の向上が見込める場合は検討してみてもよいでしょう。
- 選択肢3:売却・等価交換を行う
共有名義を解消したうえで売却や等価交換を行うことも選択肢の一つです。
売却金額や時期、その他条件などについて、他者の意向に左右されずに計画を進めることができます。
他の権利者から買い取った費用よりも高い金額で売却できれば、買い取り費用と売却金額の差額を利益として受け取ることもできます。
>>関連コラム:土地活用|等価交換方式は非課税?資金ゼロ?詳しく解説します!
まとめ
不動産の共有名義のリスクやその解消方法をご紹介しましたが、不動産は共有名義のまま活用することも可能です。
しかし、権利関係の複雑化や悪意のある第三者の介入など、トラブルのリスクがあることを認識していることが大切です。
その上で、共有名義を解消できそうなタイミングがあれば早めに動き出すことをおすすめします。
共有名義の解消方法は、ご自身や他の権利者の意向・関係性などによって大きく異なります。
共有状態を解消した後の不動産の活用方法も含めて様々な選択肢がありますので、共有名義の解消については不動産を活用するプロも交えて方向性を決めることをおすすめします。
私たち鈴与三和建物株式会社は、80年以上このような不動産に関するお悩みや問題の解決をお手伝いしてきました。最善の解決策はお客様によって異なります。お話を伺ったうえで、お客様一人一人に合わせた解決方法をご提案いたします。
相談は無料ですので、共有名義などでお悩みの方は是非お気軽にお問合せ下さい。